このシリーズでは、介護福祉士国家試験の過去問を1問ずつ、やさしい日本語で解説しています。
今日は第38回の問題10です。
テーマは「介護老人福祉施設におけるリスクマネジメント」です。施設で事故が起きないように、どんな取り組みが必要なのか、一緒に見ていきましょう。
Aパート
科目:介護の基本
【問題10】
次の記述のうち,介護老人福祉施設におけるリスクマネジメントとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 安全対策担当者を置き,事故発生予防のための委員会を定期的に開催する。
2 家族からの苦情は,介護福祉職が,その場で解決する。
3 利用者の私物を壊したときは,介護福祉職の自己判断で弁償する。
4 入浴介助時のインシデントの報告は,職員間の口頭による伝達に統一する。
5 事故防止のため,地域のお祭りへの参加は控える。
『リスクマネジメント』
事故や危険を予防したり、起きたときにうまく対応したりするための取り組みのことです。
『安全対策担当者』
施設の安全を守るために、事故の予防や対応を専門に担当する人のことです。
『委員会』
あるテーマについて話し合ったり決めたりするために、複数の人が集まって作るグループのことです。
『自己判断』
他の人に相談せずに、自分ひとりで決めることです。
『インシデント』
事故には至らなかったけれど、あぶなかった出来事のことです。
『口頭』
文書に書かずに、言葉で直接伝えることです。
安全対策担当者を置き,事故発生予防のための委員会を定期的に開催する。
介護の現場でのリスクマネジメントは、職員ひとりひとりの注意力にたよるのではなく、施設全体の「しくみ」として取り組むことが大切です。
安全対策担当者を置いて、事故を防ぐための委員会を定期的に開催することで、施設の中で事故の情報を共有したり、また同じことが起きないようにする対策を話し合ったりできます。みんなで、ずっと続けてこの仕組みに取り組むことが、リスクマネジメントの基本です。だから、選択肢1が最も適切です。
家族からの苦情は,介護福祉職が,その場で解決する。
苦情への対応を職員一人の判断にまかせると、人によって対応がちがってしまいます。みんなで情報を共有して、施設全体で対応することが大切です。
利用者の私物を壊したときは,介護福祉職の自己判断で弁償する。
壊してしまったものについて、お金を払うかどうかや金額を、職員一人で勝手に決めることはできません。施設で決められたやり方にしたがって、みんなで対応する必要があります。
入浴介助時のインシデントの報告は,職員間の口頭による伝達に統一する。
口頭でだけ伝えると、情報が正確に残らず、あとから確認することができません。記録に残して、職員みんなで共有することが大切です。
事故防止のため,地域のお祭りへの参加は控える。
地域の行事に参加しないようにすることは、利用者さんの生活の楽しみをうばうことになります。危険を減らすやり方を考えながら、参加できるようにすることが大切です。
・リスクマネジメントは、職員個人の注意力ではなく、組織としての「しくみ」で事故を防ぐ考え方です。
・安全対策担当者の設置や、事故防止のための委員会を定期的に開催することが重要です。
・苦情や私物の破損への対応、インシデントの報告は、職員一人ではなく施設全体で取り組むことが基本です。
次回は問題11、介護現場におけるレジオネラ菌の感染対策について解説します。お楽しみに。
※この記事は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公開している過去問をもとに作成しています。

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